...■ 森田税理士ニュース 2008年4月号 = 会社が支払う保険の税務上のポイント=



 
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会社が支払う保険の税務上のポイント

保険商品には、従来から様々なものがあり、税務上の取扱いも異なっています。そこで、最新の取扱いも含めて主なものを以下に整理してみます。

1.受取人を法人とする保険期間の短い定期保険
一般的には、会社契約で被保険者は社長のケースが多いようです。
保険期間が5年とか10年というように短いと、その間に死亡又は高度障害状態にならない限り、いわゆる「掛け捨て」の可能性が高いため、全額損金として取り扱われます。この定期保険のメリットは、低廉な保険料で高額の死亡保障が得られることにありますので、資金に余裕のない時期のリスク対策に適しています。なお、保険期間の長い定期保険(長期平準定期保険)や、保険期間の経過に応じて保険金が増加していく定期保険(逓増定期保険)の税務上の取扱いは、通常の定期保険と異なりますので、注意が必要です。

2.長期平準定期保険
定期保険のうち、特に保険期間の長い場合で、具体的には、(1) 険期間満了時の被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、加入時の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるものをいいます。このような長期の保険料の中には、前払保険料の部分が大きいとされるところから、会計処理としては、保険期間の前半6割の期間では、保険料の2分の1を損金に算入し、残額を前払保険料(資産計上)とします。そして、保険期間の後半の4割の期間で資産計上した前払保険料を取り崩して、損金にしていくことになります(図表1)

図表1 長期平準定期保険の会計処理

<保険形態>
 
契約者  会社
被保険者 社長(50歳)
受取人 会社
保険種類  長期平準定期保険(50歳〜80歳)
年払保険料 200万円

<判定>
 
1. 50歳+30年=80歳>70歳
かつ  
2. 50歳+30年×2=110>105
○長期平準定期保険に該当

<会計処理>
 
(1) 前半の18年間  
支払保険料 100万円 現金預金 200万円
前払保険料 100万円  

(2) 後半の12年間
 
支払保険料 350万円 現金預金   200万円
  前払保険料  150万円

3.逓増定期保険(平成20年改正)
平成20年より範囲が拡大し、「保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険のうち、その保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの」に改められています。そして、前払いとされる期間、資産計上額等は、図表2のようになっています。なお、1〜3により生命保険金が発生する場合には、多額の雑収入等が生ずるので、これを原資に死亡退職金等を支給することになると思われます。この場合、適正な退職金であることの証明として、退職金規定等を整備しておく必要があります。

  図表2 前払期間、資産計上額等の表
区分
前払期間
資産計上額





1.保険期間満了の時における被保険者の
  年齢が45歳を超えるもの(2又は3に該当
  するものを除く。)
保険期間の開始の時から当該当保険期間の60%に相当する期間 支払保険料の2分の1に相当する金額
2.保険期間満了の時における被保険者の
  年齢が70歳を超え、かつ、当該保険に加
  入した時における被保険者の年齢に保険
  期間の2倍に相当する数を加えた数が
  95を超えるもの(3に該当するものを除く)
同上
支払保険料の3分の2に相当する金額
3.保険期間満了の時における被保険者の
  年齢が80歳を超え、かつ、当該保険に加
  入した時における被保険者の年齢に保険
  期間の2倍に相当する数を加えた数が
  120を超えるもの
同上
支払保険料の4分の3に相当する金額

4.小規模企業共済掛金の活用
小規模企業共済とは、役員又は個人事業主が個人で加入する共済制度で、支払った掛金の全額が所得控除の対象になります。法人が、掛金分に相当する額の役員報酬の増額(定期同額給与に注意)をした場合、その増額した役員報酬には、所得税や住民税がかかりません。役員としては報酬を増額されても、個人の所得税や住民税への影響が全くないことになります。法人にとっては、増額分は会社の損金になります。

5.中退共・特退共の加入
一時的な資金負担を少なくし、従業員の退職金の積立を計画的に行っていくには、中退共(中小企業退職金共済制度)や特退共(特定退職金共済制度)に加入することも有利です。掛金は、ともに全額損金になります。また、過去勤務期間の通算による掛金も全額損金になりますが、過去勤務期間通算は、加入時しか申し込めません。注意すべき点として、従業員は原則、全員加入させなければなりません。ただし、事業主や役員は加入することができません。中退共と特退共の比較をまとめると下表のようになります。

 
中退共
特退共
国の助成

有 (掛金の一部を国が助成)


加入できる企業の制限
資本金・従業員数等で制限あり
商工会議所や同業種団体の会員事業所
掛金の種類
5,000円〜30,000円 (16種類)
1,000円〜30,000円 (30種類)

6.総合福祉団体定期保険
最低加入人数は10名で、原則として健康で正常に勤務している従業員全員を被保険者としなければなりません。受け取った保険金は死亡退職金や弔慰金として遺族に支払うことができますので、会社の退職金規定などに応じて保険金額を設定できます。保障のみを目的とし、団体を単位として取り扱う一年定期保険であるため保険料は割安です(1年ごとに収支計算を行って剰余金が生じた時には配当金として還元されますので、実質的な負担はより軽減されます)。もちろん、会社の負担した保険料は、全額損金に算入されます。契約手続は簡単で、経営者の一括告知だけで診査も不要です(ただし、従業員が各人被保険者となることの同意が必要です)。



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